思い通りにいかない夜が、一番記憶に残るという話

野良猫 Culture

トビリシで暮らしていると、「今日はこうしよう」と決めたことが、案外そのまま進まないことが多い。今日はそんな夜の記録。

始まりは、完璧なはずだった砂肝

夕方、無性に砂肝が食べたくなって、近所のスーパーまで走った。

丁寧に下茹でしたあと、刻みネギと塩、ごま油を合わせた特製のネギ塩だれをたっぷりかける。味見をした時点で、正直「これは今日一番の出来だな」と思った。

砂肝とビール

コリコリとした食感に、ガツンと効いたネギ塩。これはビールだろうと、迷わずプルタブを開けた。

ところが、ここで誤算が起きる。香りは悪くなかったのに、口に含むと拍子抜けするくらい味が薄い。ネギ塩でしっかり味をつけた砂肝の後だと、余計に頼りなく感じてしまったんだと思う。もちろん完全に好みの話で、さっぱりした味わいが好きな人には合うタイプのビールなんだろう。とはいえ、今日みたいに味の濃いつまみと合わせるには、正直物足りなかった。テンションが一気に下がっていくのが自分でも分かった。せっかくの砂肝が、ちょっとかわいそうなことになっていた。

方向転換して、ワインの量り売りへ

このままでは終われない。仕切り直しに、もう一度外に出た。

向かった先は、スーパーの中にあるワインの量り売りコーナー。ジョージアでは、ペットボトルに地元のワインをその場で注いで売ってくれる文化がある。気負わない、日常使いのワイン。赤を1本買って部屋に戻った。

BGMには安全地帯の「月に濡れたふたり」を選んだ。レコードで持ってきていないのが悔やまれるが(トビリシのレコード店でもまだ見かけたことがない)、今回はデジタル音源で聴くことにした。

玉置浩二の歌声が流れ始めた瞬間、部屋の空気が変わった気がした。赤ワインを口に含みながら砂肝を頬張り、メロディに耳を傾ける。レコードじゃなくても十分すぎるくらい、良い時間だった。さっきのビールの失敗は、もうどうでもよくなっていた。

予期せぬお裾分けで締めくくる夜

いい感じに酔いが回ってきた頃、部屋のドアが開いた。

ルームメイトが「これ作ったから食べる?」と差し出してきたのは、綺麗な三色の層になった三色丼だった。

三食丼

ジョージアにいながら、どこか懐かしい日本の味。砂肝のネギ塩だれから、脈絡なく三色丼へ。なんの繋がりもないはずなのに、その温かさが妙に沁みた。

ルームシェアをしていると、こういう予期せぬお裾分けがある。ビールにがっかりして、音楽とワインで持ち直し、最後は人の優しさで満たされる。今夜みたいな夜があるから、トビリシの部屋飲みはやめられない。

今回はデジタル音源で妥協してしまったが、やはりこの曲は、いつか手元にレコードで迎えて、じっくりと針を落としたい。

デジタル音源で妥協した分、いつかこの曲はレコードで迎えたい。同じ気持ちの人は、こちらをチェックしてみてほしい。

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