このブログでは、思いつきで変えた予定が最高の夜に化けた話も記録しています。今回は、ワインフェスを諦めた先で見つけたご近所飲みの話です。
山の上のワインフェスを諦めた日
久しぶりに大好きな友人たちと集まって、軽く一杯やることになった。
もともとの目的地は、ムタツミンダ公園で開催されているというワインフェスティバルだった。しかし、出発間際になって「どうやら今日の営業時間はもう終わっているらしい」という曖昧な情報が流れてくる。
トビリシの街を一望するあの急な坂を登り、息を切らせて山の上にたどり着いた挙句、静まり返った会場で立ち尽くす……そんな渋い展開だけは絶対に避けたかった。私たちは顔を見合わせ、あっさりとワインフェスを諦めることにした。
「じゃあ、近くのあそこでいいか」
そうやって向かったのは、私の家から歩いてすぐの場所にあるローカルな飲み屋だった。
ご近所さんになった私たちの、新しい距離感
実は最近引っ越したおかげで、彼らとはすっかりご近所さん同士になった。

これまではお互いに少し離れた場所に住んでいたこともあり、会うとなれば「よし、飲みに行こう」と事前に予定を合わせる必要があったけれど、今は違う。「今からちょっと飲む?」の一言で、ふらっと集まれる距離感なのだ。
近所に気の置けない仲間がいるというだけで、この街での暮らしが少しだけ温かく、心強いものに思えてくる。
強烈にしょっぱい魚と、キンキンに冷えたビール
店の外に並べられた簡易的なテーブル席に腰を下ろし、まずはドラフトビールで乾杯した。
酒のあてにと頼んだのは、黄色いビニール袋の上にどんと丸ごと一匹乗せられて出てきた、魚の塩干し(塩漬け)だ。包丁で綺麗に切り分けられているわけでもなく、豪快そのもののビジュアルだった。

手でむしって一口かじってみると、頭が冴えるほど強烈にしょっぱい。塩気の塊のような味覚が口いっぱいに広がる。だが、間髪入れずにキンキンに冷えたビールを流し込むと、その塩味が奇跡的なうま味へと変わる。これぞまさに、無駄な装飾を削ぎ落とした「酒の肴」の真骨頂だ。しょっぱさに眉をひそめながらも、気づけばビールを飲む手が止まらなくなっていた。
偶然から生まれた、愛おしい日常
「最近どう?」「相変わらずだよ」
なんてことのない近況報告から、くだらない笑い話まで。プラスチックカップのビールを傾けながら、夜風が心地よく吹き抜けるテラス席で会話が途切れることなく続いていく。肩肘を張らず、無理に盛り上げようともせず、ただそこにいる時間そのものがとにかく愛おしくて、心地よかった。
予定通り山の上のワインフェスに行けていたら、それはそれで華やかで楽しかったのかもしれない。けれど、思いつきで変更したルートの先で、気心知れた友人たちと冷えたビールを飲み、しょっぱい魚をつまむ夜。
そんな偶然から生まれたローカルな日常のほうが、あとから振り返ったときに、きっと深く心に残っているような気がする。
今夜のビールのお供に
ジョージアで食べた塩辛い干し魚があまりにもビールに合いすぎたので、日本で買える似た系統の「最強の酒の肴」を紹介しておく。しょっぱい干物×冷えたビールの組み合わせ、家飲みが捗ること間違いなしだ。



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